国税庁 7月にPTを設置して個人間のネット取引などに対応
2019/07/18
国税庁はさきごろ、「シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への的確な対応」を公表した。
近年、個人が保有する活用可能なモノ・場所・乗り物などの資産をインターネット上において個人間で貸し借りなどする「シェアリングエコノミー」や暗号資産(仮想通貨)取引などが増加している。こうした中、国税庁ではインターネットを介した取引について、全国税局・沖縄国税事務所に設置している「電子商取引専門調査チーム」を中心に情報収集・分析などに取り組んでいるが、今後はシェアリングエコノミーなどの新分野の経済活動にも的確に対応していく方針だ。
具体的には、法的な枠組みを積極的に活用して、シェアリングエコノミーなどの経済活動に関する情報収集を展開。また、「電子商取引専門調査チーム」のほか、2019年7月からは全国税局・事務所において関係部署の指名された職員で構成されるプロジェクトチームを設置。全国200人規模で、国税局・事務所間や関係部署間で連携協調を図りながら情報収集・分析の取組みを強化する。
さらに、大量で様々な情報を有効に活用していくため、2020年1月から情報を一元的に管理し、マイナンバーや法人番号をキーとして資料情報の横断的な活用を目的としたシステムを整備する。そして、各種の情報を組み合わせた情報分析の充実を図り、シェアリングエコノミーなどの新分野の経済活動において課税上問題があると見込まれる納税者を的確に把握し、行政指導のほか、大口・悪質な申告漏れなどが見込まれる場合は厳正な調査を実施していく。
なお、国税庁ではシェアリングエコノミーや暗号資産の調査事例も公表しており、主な事例を取り上げる。
【暗号資産(仮想通貨)取引に対する調査事例】
調査対象者は、暗号資産(仮想通貨)取引で多額の売買利益を得ていることが想定されるにもかかわらず無申告であったため、調査を実施。その結果、給与収入を原資として、複数の交換業者を通じて暗号資産(仮想通貨)取引を行っており、これらの取引で得た利益について申告をしていないことが判明した。
【インターネット上のプラットフォーマーを介した売買に対する調査事例】
調査対象者は、チケット転売サイトで購入したチケットを、ネットオークションに出品・売却することで、多額の利益を得ていることが想定されたため、調査を実施したところ、オークションサイトのID登録のほか、決済口座も親族名義を利用することで、自分の名前が一切表面に出ないよう画策し、申告義務を逃れていたことが判明した。
【アフィリエイターに対する調査事例】
調査対象者は、ASP(AffiliateService Provider)を通じて、多額のアフィリエイト報酬を得ていることが想定されたため、調査を実施したところ、アフィリエイトで稼いだ利益について申告をしていないことが判明。※ASPは、広告を掲載してもらいたい広告主と広告を掲載したいアフィリエイター(調査対象者)を仲介する役割を担う業者。